予期せず聞こえたその声に、頭がいったんフリーズする。
この語尾の伸びた甘えた声は……生徒会書記のアヤノさん。
そりゃあ、生徒会のお仕事だもん。
一緒にいるのはしょうがないけど……。
風強いね〜って、なに。
ふたり、外にいるの?
『菜結、なに? もっかい言って』
「………」
『……、菜結?』
耳を澄ましたら、聴き慣れた繁華街の音楽が流れ込んできて。
その瞬間、すうっと背中が冷たくなる。
すぐそばで楽しそうに声を弾ませてるアヤノさん笑い声がひっきりなしに聞こえてくる。
「……ねえ、生徒会のお仕事って、うそなんじゃないの、?」
『なに、ほんとに聞こえない』
「………」
ふたりで繁華街歩いて、なにしてるの。
通話を早く切りたがってるのは、あたしが邪魔だから?
じゃあ、昨日のあれはなんだったの。
なんとも思ってないくせに、気まぐれに甘やかして。
あたしが真っ赤になってるの見て、楽しんでたのかな。
「もういいよっ……、利人の───」
……利人のバカ。
言いかけたセリフは、こみ上げてきた涙で震えちゃって、慌てて通話を切った。



