そんな事を思っていると、ぎゅっと握りしめていたスマートフォンが一つ震えて、そのメッセージを見る前に私は不格好な笑顔を向けた。
微かに雲に隠れた月が放つ光は傍から見たら薄暗いかもしれないけれど、今の私には十分眩しかった。
【俺も藍たい。だから、藍に来たよ】
窓の外で私の事を待つ彼の姿を、これでもかとちゃんと照らしていた。
絵文字でもなく記号でもない、彼の気持ちがしっかりと見えるように。
ふわりと踊りまとわりつく、レースのカーテンを振りほどき私は彼の元へと向かうべく月明かりに背を向けた。
*Fin*



