「漣、ねぇ……」


まさかすずちゃん、漣くんのことが……?

そんな話一度も聞いたことないけれど、もしかしてと一瞬ドキッとする。

わたしが慌てることなんか、なにもないはずなのに。


「んー、やっぱ漣だけはないわ」


「えっ」


「あんな無愛想で無表情な人、タイプじゃない」

「そっ、そっか」


すずちゃんは興味ないというように視線を逸らす。

って、なに安心してるのわたし!?


「あたしはもっと、笑顔があって優しくて包み込んでくれるような……」


「へー、小山はそういう人がタイプなんだ?」


「っ、江川!」


「江川くん!」