翌日の朝。


「ぜんぜん進まない……」

「なにが進まないって?」


「ううっ、すずちゃん〜!」


机につっぷしていたら、すずちゃんが登校してきた。


「はいはい話聞くよー……って、」


ちょいちょいと手招きされて耳を寄せる。


「首のとこ赤くなってるけど、それ、キスマーク?」

「っ!!」


漣くん……!


「昨日いろいろされちゃったってわけか。独占欲の塊みたいなやつねー」


ううっ、せっかくポニテールにしたのに。

今日も、いつも通り下ろしてるしかなさそう……。


「そ、それはそうと、すずちゃんの方こそ大丈夫だったの?」


「大丈夫って?」


「江川くん。
結構怒ってたみたいだけど……」


「べ、べべべ、べつになんにも!?」


すずちゃん。

顔りんごにして無理があるよ……。

あまりの動揺っぷりに逆にこっちが冷静になってしまう。