「は、離れてもらえませんか……」 射抜くような鋭い瞳の中に、 動揺する自分の姿が映り込んでる。 後頭部に手が回されて、コツンとおでこが合わさって。 「それは向坂の返答次第かな」 ついさっきまで苦手だと思ってた人は クールでも無表情でもない。 「教えてよ、向坂」 ぶつかる視線からも。 「いいかげんにっ……!」 「教えてくれるまでずっとこうしたままだよ」 ゆっくり確かめるかのように頬をすべる手からも。 「んっ」 聞きたい。 気になる。 そんな気持ちが強く強く伝わってくる。