「江川くんと、なにかあった?」


「っ……!」


途端にビクッと体を震わせて、両手で顔を覆う。


「すずちゃん」


「なに……?」


「なにか江川くんと良くないことでもあった?」


ふるふる。

首を横にふった時、つやつやな髪から耳がちらりと覗いた。


「もしかして……告白、された?」


「っ!!」


瞬間。


「はぁーっ、ほんっとむりっ!!」


「えっ!?」


バンッと強くテーブルを叩いて立ち上がったと思ったら、また顔を覆って。今度はうめき声が聞こえてきた。


「昨日さ、ふたり帰ったじゃん?」

「うん」


「その後さ、ふたりで勉強してたんだけどさ、江川が急に黙ったから、何かと思って」


「うん」


「そしたらね」


「うん」


「キス、されたの」


「っ、え?」


え。

「えぇぇぇーーー!?」

すずちゃんは足をジタバタさせて今度は頭を抱えた。