「わっ、これめちゃくちゃおいしそ〜!」

「ねっ!いっぱい写真とろ!」


女の子たちが騒ぐ、すぐ隣で。


「……」

「……」


メニューも開かず、黙ったままテーブルに向かい合うすずちゃんとわたし。

今いるのは学校から少し離れた駅近くにあるカフェ。

特に生クリームましましのパンケーキが有名なこのお店は、今日も女子高生でいっぱい。


カメラのシャッター音やきゃーきゃーと騒ぐ声が聞こえる店内で。


「あの……す、すずちゃん?」

「……」


わたしたちのいるテーブルだけが場違いみたいに静まり返ってる。


今日は先生たちの都合で授業は午前のみで。

いつもだったらめちゃくちゃ喜ぶはずなのに、今日は朝からずっとこう。


いつもきまってる巻き髪も今日はなんだかゆるゆるで。

極めつけは髪で顔を覆い隠すように、俯いていることが多くて。

中学から一緒だけど、ここまで静かなすずちゃんは初めて。


授業が終わって、引っ張られるようにここに来たけど……。


すずちゃんをここまでにする理由。


「あ……」