「えっと…【カリビアン】…?」

『聞こえん!』

小さな声で呟いたら、ピシャリ!と小窓を閉められてしまう。


なので、もう一度銅鑼を3回鳴らして、小窓から出てきた人形に、真っ赤になって大きな声を出す羽目になった…。



「大人しい愛海には、こういう刺激、偶には大事よ〜?」


いたずらっぽく囁く真梨恵。
いつもならば、怒るところだけれど、今夜は彼女の気持ちを考えて、力なく「はいはい」とだけ答えた。



そんな恥ずかしい思いをして、お店の中に入ったにも関わらず…相席だなんてついてない…と、そう思っていたけれど、こんな風に穏やかな男性と、緩やかな時間を持ってお酒を飲めるなんてラッキーだったのかも、と思い直していた所だった。