愛は惜しみなく与う⑦

何年ぶりかに呼ばれた自分の名前に


涙が出てきた



母上はあたしを覚えてたんやな
ちゃんと、名前で呼んでくれることがあるんやな


「引き止めて申し訳ありません」


母上の肩から手を離して目元を覆う
涙が止まらないから。

あたしのことなんてもう、名前さえ呼んでくれないと思ってたから


母上は部屋から出ていく気配がない

涙を止めなきゃ


そう思ってもなかなか止まらなくて



「私は貴方を、そこまで追い詰めてしまったんですね」


へ?


顔を覆うあたしの手を母上が顔から外すように引っ張った。


「ごめんなさい。貴方も子供なのに。ごめんなさい」



母上?

そのまま母上は崩れるように病室の床にしゃがみ込んでしまった




引っ込んだ



「母上!汚いですからせめて椅子に…」


土足やで、ここ!
てゆうか、母上はあたしに謝ったん?

どうして…



「泣かない子だと思ってた。何をしても何を言っても泣かないから……怖かった」


あたしのこと?

母上が、いま泣いてる

蹲み込んだ母上の頬は濡れていた