「貴方が言ったんですよ。悩む暇があるなら動けと。泉がお父上のところへ行くと言って、ついて行けなかったと後悔する私に、貴方がそう言ったんです。
親子というのはとても複雑です。泉も何年も苦しんでようやく貴方のおかげでお父上と向き合えた。
でも、慧も響も朔も……嫌な記憶でしかないと思います。私も片親で、父親の事は大切です。父親と弟のためなら私はなんだってするでしょう。
でもそうは思わない人もいる。
それは別に、悪いことではありません。嫌なら嫌でいいんですよ。
貴方も、別に向き合わなくてもいい。
ただ向き合わなくていい人は、迷わないんですよ。迷う気持ちがあるのは、何か希望やワダカマリがそこにあるからです。
あなたが母親に何を求めているのかは分かりません。でも悩むくらいなら……足掻いてください。立ち止まる貴方は見たくない。
普段こんなこと言いませんけどね、私は貴方のことは本当に尊敬してるんですよ。
貴方の言葉には重みがあり、人を動かす力がある。何人がこれまで貴方の言葉に動かされたのかと思うと計り知れない。
勿論私もそうですし、ここに居るみんなもそうです。
