愛は惜しみなく与う⑦


「志木が母上と話してくれってゆうたん。母上に会うのが怖い。夢で母上はあたしに謝ってきた。もし現実でもそうなったら、あたしは捨てれるかわからへん。

存在も無いものにされて、無視され続けた日々でも、あたしは捨てきれへんかったのに。

話し合いしてしまうと、自分がどうなるか分からんねん。だから、悩んでるねん」


手伝ってくれた皆んなにこんな事言ってごめん。あたしは最低や。

杏はそう頭を抱えた



わかるよ。親って恐ろしいくらいに自分の中にこびりついている。
引き剥がしたくても剥がせない。

わかるけど



「あの…いいですか?」



ずっと黙っていた新は控えめに手を挙げて、その場を一度収めた

ぐすぐす泣く杏

杏の隣にいる慧と新は場所を変わり、泣いて顔を覆う杏の手を取った。



「こっちを見てください」


「…あら、た?」



新は基本、こう言うときは黙って現状を見守っている。だからこうやって動いたことに驚いた。