何も解決しないまま東堂にいたら、杏がおかしくなる。また自分を殺してしまう。
また…心から笑えなくなる。

そうなるくらいなら、捨てさせる


「杏はよくやったよ。見返りも求めずに、ただ救いたいという気持ちだけで、お前達を守ってたんだ。だから母親があんな感じなら、また杏は傷つくだけだから…
俺が向こうへ帰ったら、人生かけるよ」


杏が望むなら
烈火という家族をもっと感じさせてやる。
毎日笑わせてやる。

杏は必要だって分からせる。

杏に悩んだ顔はさせない。


「とりあえず俺は、みんなのところへ戻る。夜には杏のところへ行くから…お前はここに居ろ。母親に何か変化あれば教えて。暴れ出したらなんとかしてくれ」


もうすぐ警察も来るからみんなの所へ戻らないと。母親は妹に任せよう。
母親が真実を知っても変わらないのなら、杏を連れて帰ればいいだけの話だ。


杏が本当に自由になれるまで


最後まで付き合うから。



「泉くん、杏ちゃんの彼氏なの?」

「だと思うけど…」


妹とみのりさんのそんな言葉を聞く前に、俺は東堂組に戻った。