「さっさと家に戻って、お前のやるべき事をしろよ」
メソメソ泣いている妹の服を鷲掴みにして立たせる泉を敦子が止める
「ちょっと!そんな扱いせんでええやろ!?」
「うるさい。母親が叫んでる」
泉の言う母親は、杏の母親のことだろう。泉は東堂家の様子も見てきたようだ。
「杏が、あーならないように精神安定剤として母親の面倒みてたんだろ?じゃあ杏が居ない今、あれ、どーすんだよ」
俺は杏の母親にまだ会ってないけど、話を聞いてる限りじゃ…
この状況はヤバイだろうな。
「私は…お母様にも会えない」
「会えないなんてお前の事情知らねーよ。さっさと行け」
「ちょっと…そんな無理矢理…」
泉の手を持って押さえる美奈子
でも泉はその手を振り解く
「杏は…自分の事情なんて殺して…自分さえ殺して、お前のフリをしてきたんだろ!守ってもらってきた奴が、まだ杏に甘えるのかよ!!!杏は今、生死を彷徨ってんだよ!!手術終わっても、まだまだ危ないって医者に言われたんだよ!!!
…お前に杏のやってきた事を無駄にする資格は無いんだよ!!お前がやらなきゃいけねーんだよ」



