愛は惜しみなく与う⑦

2人になった静かな空間で、泉は1番に妹の話をした。

「妹は?みてないか?」

「あ…。杏の部屋にいる。謝りに来た」

「そうか。ちょっと話がある。朔も一緒に来て」

「うん、勿論」


きっと泉は、妹のことや俺たちのフォロー、雄作さんと後処理の話をしたり……色々するために戻ってきた。

俺たちも泉がいると、すごく安心するから。


杏の側にいたかったろうな


「妹…なんて言ってた?」

「なんか、全部話すとかそんな感じ」

「つくづく頭悪いな」


泉は舌打ちをした。
面白いくらいに、杏の妹に対して毒を吐く。

まぁ、杏の妹って感じはしないよな〜


真逆というかさ、うん。なんか面影がない。顔はめちゃくちゃ似てるけど。



「女じゃなけりゃ殴ってる」

「殴るよりもお前の言葉の方が効いてるだろ」


ふん。と怒りながら歩く泉の後ろを歩く。道は分からなかったけど、泉は覚えてるのかスタスタとメルヘン部屋に辿り着く。



ノックとかそういうのもせずに、ガタンと扉を開ける。


俺が出て行くときも泣いていた妹は、未だに敦子と美奈子に慰められていた。

おこるぞー?


そう思ったけど、予想以上だった