愛は惜しみなく与う⑦


「親父…」

「なんだよ。俺が朔と話してたらおかしいか?」

「いや、そうじゃなくて。起きてて大丈夫なのか?」


朔、遅くなって悪いな。
俺の隣に来て、怪我はなかったのかと、身体をチラチラ見られる。


「嬢ちゃんはどうだ」


そう聞く親父さんの問いかけで、泉がピクリと反応した。

杏は…?



「まだ手術中だ。ただの外傷だけじゃない…らしい。志木さんも同じ病院にいたから話してきた」



手術中…
俺たちがただ怪我するのとは訳が違う


「志木さんは?」

「口だけは元気だったよ。身体は無理しすぎて動けないみたいだけど。口はすごく動いてた」


苦笑いをしているから、志木さんはなんとかなるだろう。

あとは杏だ



「杏は大丈夫だ。大丈夫」


俺を宥めるようにそう言う泉。お前も苦しいはずなのにな。俺たちのことを考えて、すぐ戻ってきてくれたんだな。


ありがとう



「ゴトウに怒られるから、そろそろ俺は戻る。俺の手術ももう少しだからな。嬢ちゃんには元気でいてもらわないと」


親父さんはそう言ってそのまま俺たちの前から立ち去った。