「親父…」
「なんだよ。俺が朔と話してたらおかしいか?」
「いや、そうじゃなくて。起きてて大丈夫なのか?」
朔、遅くなって悪いな。
俺の隣に来て、怪我はなかったのかと、身体をチラチラ見られる。
「嬢ちゃんはどうだ」
そう聞く親父さんの問いかけで、泉がピクリと反応した。
杏は…?
「まだ手術中だ。ただの外傷だけじゃない…らしい。志木さんも同じ病院にいたから話してきた」
手術中…
俺たちがただ怪我するのとは訳が違う
「志木さんは?」
「口だけは元気だったよ。身体は無理しすぎて動けないみたいだけど。口はすごく動いてた」
苦笑いをしているから、志木さんはなんとかなるだろう。
あとは杏だ
「杏は大丈夫だ。大丈夫」
俺を宥めるようにそう言う泉。お前も苦しいはずなのにな。俺たちのことを考えて、すぐ戻ってきてくれたんだな。
ありがとう
「ゴトウに怒られるから、そろそろ俺は戻る。俺の手術ももう少しだからな。嬢ちゃんには元気でいてもらわないと」
親父さんはそう言ってそのまま俺たちの前から立ち去った。



