愛は惜しみなく与う⑦

守りたい、助けたいは、ただの俺の自己満だ。泉もそうだ。

でも泉は最初から言ってた


杏が笑顔で居られる未来のためにって。


やっぱり敵わない


「おーおー諦めるのか?」

「いや…そうだな。諦めるわけじゃないけど…俺、兄ちゃんのことも、かなり好きだからな」


笑える

俺のお兄ちゃんは泉だ

俺は泉が大好きだ

だから杏を諦めるとかそういう事じゃない。


ただ


泉が幸せにする杏を、側で見てるのもいいかなって思うんだ。


「泉は気付いてないけど、杏は泉のこと好きだと思う」

「ん?なんでだ?」

「杏は…泉といる時だけ眠るんです」

「……?」



「泉が落ち着くんだと思う。杏が弱いところを見せるのは、いつも泉の前なんだ。杏を素直にさされるのは泉だけなんだ。杏には…幸せになって欲しい」


自分がこんなことを思う日が来るなんてな。

それなりにヤキモチも妬くし、それなりに人のことも好きになってきた。


だから不思議な気持ちなんだ


あんまりヤキモチ妬かないんだ。


杏が笑顔ならそれでいいって思えるんだ。