愛は惜しみなく与う⑦


「そりゃ…両想いなら嬉しいだろうけど、俺は杏が誰といて1番幸せと感じるかが大事だ。俺じゃなくてもいい。幸せになる道を選んで欲しい」

まぁ告白する気もないけどな。
この気持ちを大事にしたいだけ。


「自分が幸せにすればいいだろ?」

「俺じゃ…今の俺じゃ無理だ。杏を1番に考えれてない。まだ自分の感情が優先されてしまうんだ」


サトルと会った時もそうだ

怖いが勝ったよ

助けてやりたいし守ってやりたいのに。



「馬鹿息子が増えたな」


ふんと鼻で笑われる


「強くて守れる奴が凄いのか?スーパーマンみたいに助けれたらいいのか?そうじゃないだろ」


癌だなんて思わせないほどの、力強い言葉に心が揺れた



「あの嬢ちゃんを笑顔にできる奴が凄いんだろ?嬢ちゃんが守って欲しいと思ってるのか?スーパーマンみたいに助けてくれって思ってると思うのか?違うだろ。

嬢ちゃんの何気ない日常で、少しでも長く嬢ちゃんを笑顔にさせてやるのが……本当に想うってことだ」


その辺は、あの馬鹿息子の方が、朔よりも得意かもな



親父さんはそう言った