愛は惜しみなく与う⑦

偶然見つけたけど、ちゃんと話しておきたかった。言いたいことがあった。


「養子にしてくれてありがとうございます。本当に…幸せです」


ずっと、ちゃんと言わなきゃなって思ってた。


この人もとても難しくて生存率の低い手術を受ける。
生きてくれると信じてるけど。

今言わなきゃいけないと思った。


少し驚いた顔をした後、真顔に戻る



「敬語を使うな。親父でもなんでも好きに呼べ。あの馬鹿息子が連れて来たんだ。仕方ないから最後まで面倒見てやるよ」


あいつがあんなに頭を下げて頼んできたのは、お前のことが初めてだよ。

そう言った。


「慣れるまで恥ずかしいや」


お父さんになってくれた人


「嬢ちゃんは大丈夫だ。きっと、お前たちの元に戻る」


親父さんはそう言った。
嬢ちゃんとは、杏のことだろう。
泉のお父さんさえも心配して、ソワソワしているらしい。

杏…



みんな待ってるからな


「ところでお前は、嬢ちゃんが好きなのか?」

「へ?」

「違うのか?そんな気がしたけど」


どうして俺の気持ちはみんなにバレているんだろうか。