愛は惜しみなく与う⑦

「私は…一度捨てたんです。お母様や東堂に関わる全ての人たちを裏切りました」

「だから、それは分かるけどお前が今後どうするかが大事なんじゃねーの??」


朔、言いすぎるなよ。と隣で慧が俺の体を押さえる。

いや、でもさ?


「過去のことは覆らない。どうあがいてもお前がみんなを裏切った事に変わりはない。でも……知らなければ?みんなが知らなければ、何もなかったように世界は動く」


杏が死んだことになって、お前のフリをして……でもそんなこと、みんな知らないから世界はいつも通り進んでいったろ。


そう言うと、妹は下を向いた



泉と杏がいないから、俺たちがしっかりと正しいと思える道を示さなきゃ。



「それこそまた騙してる!!私は耐えられない」



ちがうぞ



「騙してるのは、周りのためだ。お前の悪事をバラさないようにする為じゃない。そしてお前は忘れずに生きるんだ。

また東堂として生きるなら、みんなの為に嘘をついて、自分の罪を1人で背負え」



俺さ、珍しくまともに話せてるよ。
頭悪いからいつも口喧嘩とか話すと、ばーかとかしか言えないけどさ。

杏を思うと言葉が出てくるよ