「…ん、な」


「は?なんて?ちゃんと喋れよ!!あ、首絞められてるから、話せないのか」


ハハハと狂ったように笑うサトル
モヤがかかったかのように、頭がぼーっとして、五感がおかしくなる


最後に…みんなに会いたかった

サトルも、出来るなら救ってあげたかった



最後の力を振り絞り、サトルの手首を掴んでいた自分の手を動かして、サトルの頬に触れる

その頬は涙で……濡れていた





「ごめん、な」



少し力が緩んだのか、声が出た


ほんまにあたしの声なんかなってくらい、汚い声


喉潰れたかな

もう、力入らんわ

あたしが戻らなきゃ、みんなの頑張りを無駄にしてしまうのに。


みんなもごめんな



「ッ!!!!」


ドサっと私の身体は地面に倒れた
痛いなぁ。でももう自分の意思で動かせれへん



「おい…ごめ、ごめん。杏!死なないで!謝るなよ!俺…どうしたら!」


顔を押さえて焦るサトルが見える。大丈夫やでって言ってあげたいけど声が出ない


こんな可哀想な人間みたことなかった。


サトルが言ってた、もっと早く出会って話せてたらって言うの…
あたしも思ったよ。