愛は惜しみなく与う⑦

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「待てって、今行ったら殺されるぞ!」

「人を簡単に殺してしまえる奴と、杏様を2人っきりにさせれる訳がないでしょう!!」


昴さんと志木さんが怒鳴り合ってる。

杏が来た

来てしまった



でも正直…


杏がこなかったら、やばかった。確実に。

そしてこの妹も……



「昴、どきなさい」

「だから待てって。まずはこいつらを診てやれ。お前も手負いだろ?杏のところには、俺らが行く」


敦子と美奈子もみんなの手当てに回ってくれてる。


「朔くん、目洗った?」

「あぁ、大丈夫」


水で流せと言われて、目を洗った。汚そうな水かとおもったけど、案外大丈夫だった。

おかしなくらい、落ち着いてる



怖いよ


本当に


「ちょっと、なんでここまで喰らったの?」


美奈子は泉の身体を支えて起き上がらせる。泉は身体全部水をかぶった。

でも、まだ目は…開けれないみたいだ。


「泉は俺を庇った」

「はぁ、ちょっと座ってなさい」


俺たちはあの部屋から放り出された。今は通り道にあったトイレの前にいる。