「馬鹿は気付かへんねん。側にいてくれる人、寄り添ってくれる人に。可哀想って思い込んでるねん。俺は…可哀想で誰からも愛されてないって思い込んでるだけやねん」
「俺のことを!!!愛してくれた奴なんていない!!」
パシン
サトルは頬を押さえてお姉ちゃんをみる
「いるよ」
そう一言だけ告げて、お姉ちゃんは言葉を飲み込むように押し黙った
サトルは……本当に可哀想だ
「褒めてるわけじゃないけどさ、あんたは凄いよ。誰かを動かす事ができる人って、この世の中で限られてると思うねん。
それこそ、アーティストであったり、テレビで語ってるコメンテーターであったり…有名な金持ちであったり…色々な人がいるけどさ。
人を惹き寄せる力って言うのかな?同じ目的を持って、共に動いてくれる人が居るってのは、すごい事やねん。
あんたの場合それが、悪い方に向いて、アホみたいにスコーピオンの奴らが集まったけど……でもそれって、凄いんやで?」
力なく笑うお姉ちゃんは、しゃがみ込んだサトルの側に膝をつき、頭を抱えたままのサトルの肩に触れた



