愛は惜しみなく与う⑦

「杏様!」

「アホ!!!さっさと部屋から出ろ!躊躇いもなく撃ちよったやろ!!」


サトルは威嚇とかそんな感じで撃ったんじゃない。あたしが来たってわかって、あたしの前で誰か撃ってやろうって…そう思ったんや。

志木はあたしの方に来ようとするけど、それは違う。


「くっ…」


力強すぎるやろ
サトルを押さえ込むのに必死すぎて、皆んなの方を見ることもできひん


「結構大胆だな?お前からこっちに来るなんて」


うっさい黙れ
そう思うけど、少しでも気を抜いたら、確実に吹っ飛ばされる。そしたら…誰か…


「志木、ボサッとすんな!ガキ共を外に出せ」


昴の声が聞こえる

後ろを振り向くことはできひんけど



気配がなくなった



「あれ、2人きりだな?俺に会いに来たのか?」

「せや、会いに来た。ちゃんと話そうと思ってな」


サトルの力が緩み、あたしも、サトルの腕を掴む力を緩めた。



「話してやりたいんだけど、先に片付けることがある」


「何?あたしと話すことよりも大事?」


「……あの金髪の男、殺そうかなって」