お姉ちゃんがそう言うと、サトルは目をそらす
「見ろ!!!!」
お姉ちゃんの声に驚いて身体がビクつく
「目を逸らさずちゃんと見て?さっきあんたが力を入れたらこうなった」
サトルはお姉ちゃんの首元を不安そうな顔でみている。その瞳は揺れる
「人ってな……すぐ傷つくねん。簡単に傷は消えへんねん。優しく触れることもできるし、傷つけることもできる。その人次第やねん。この跡がある限りあたしは、あんたに首を絞められたことを忘れへん。誰かの手が首元に近づくたびに、怖くて身体が震えるねん。
自分でそれをコントロールすることはできひん。身体が…覚えてるから。
でもな?身体の傷なんていつかは消える。忘れる時が来る」
サトルの手からソッと手を離して、お姉ちゃんの手は、サトルの胸に優しく触れた
「心の傷は消えへんねん」
まるで私にも、そう語りかけているように思えた。
お姉ちゃんは……自分も傷ついた人だから分かるのかな。こうやって、気持ちを汲み取ろうとしてくれるのかな
「心の…傷?俺には…そんなのない。感じないんだ。何をしても心は動かないんだ」



