「だから言ってるだろ?怒るくらいなら教えてくれよ。お前が俺に優しさとか愛を教えてくれよ。俺は……お前の言う事なら聞くよ?教えてくれたことは、素直に吸収するよ?」
眉を下げて笑うサトルを見ていると、胸が苦しくなった。あんなサトルを見たことがない。あんなに……何かに縋るような目を知らない。
「教えてくれよ。常識ってなんだ?人を愛するってなんだ?人間らしくってなんだ?俺は……教わったことないんだよ。誰も教えてくれなかった。俺には…分からないんだよ」
あまりにも弱々しい声に、一瞬そばに駆け寄りそうになった。
サトルはとても、可哀想な人だ
「あたしの言う事聞いてくれるなら……罪を認めて償ってよ!!!これ以上…誰かを傷つけることをせんといてよ!!」
「なんで傷つけたらダメなんだ?俺は都合が悪けりゃ殴られて殺されかけて、タバコは押し付けられるし、骨も折られた。死ねと罵られて、食事も与えてもらえずに、死ぬことも許されず……それでも生きた。人間は醜いものだろ??お前も……俺を捨てるんだろ?」



