〝じゃあ、十九時半に〟

メッセージではそう言っていたけれど、時間になっても四宮さんは現れなかった。

携帯を確認すると、十九時五十五分。
空には薄い雲がかかり、その向こうには小さな星が散らばっている。控えめに輝く星を眺めてから路上に視線を落とすと、車のヘッドライトの眩しさに目がくらんだ。

支店前や駅前での待ち合わせは他の社員の目もあり気になるからと、待ち合わせ場所は近くにある本屋前にしてもらった。

そこなら車道も広く余裕がある。一時的に停車している車もよく見かけるから、車で来るという四宮さんも停車しやすいかなと思っての提案だった。

天川支店は大きな駅近くにあるためか、駐車場のある店舗は少ないため、今度もし待ち合わせするようなことがあったら別の駅前とかの方がいいかもしれないなと思いながら、携帯を眺める。

四宮さんからの連絡は、十六時頃〝十九時には本社を出る予定でいる〟というメッセージを最後に途切れている。

これが氷室さん相手だったら、どこで油を売っているんだろうと電話しているところだけれど、相手は四宮さんだ。
時間にきちんとしている人だから、理由もなしに遅れるとは思えない。

きっと連絡ができないような仕事のトラブルが舞い込んだりしているのだろう。それか、道が渋滞しているのか……。

もしかしたらなにかあったのかな、と不安がよぎりそわそわする。