「それより、塚田さん。これ、今日の午後には郵便局に持ち込みたいから手伝ってくれる? 今、特に仕事ないよね」

来月頭には届いていないとまずい案内だ。
宛名はシールに印字されているから、それを透明なビニールの封筒に貼ればいいだけだし、枚数もそこまで多くはない。手の空いた時間にふたりでかかれば間に合う。

だからお願いすると、塚田さんは面倒くさそうに顔を歪めた。

「ええ? そんなの、藤崎さんがすればいいじゃないですか。私は〝受付〟として派遣されてるんだし、それ以外の仕事もしなくちゃいけないなんて聞いてないんですけど」

ちなみに、塚田さんはどういった仕事を受付の仕事だと思っているんだろう。電話対応もお茶出しも、受付の仕事ではないという判断だから手伝いもしないんだろうか。

ただ座ってネイルを眺めているのが仕事……とでも言われても困る。

ついでに言えば、私の方が年上だし職場の先輩でもあるのだけど、それも彼女にとってはどうでもよさそうだった。

「そう」

たとえ思うところはあっても、それを口にするのはまずい。
MUSEの正社員であれば注意しても問題はない。でも、塚田さんは派遣社員だ。

派遣社員への指揮系統を持っているのは派遣会社であって、うちの会社にはない。

つまり、直接注意ができない。