〝会社の副社長が〟?
〝お見合い相手が〟?

間違ってはいないにしても、しっくりはこない気がするのは、その響きがどこか表面的で冷たく感じるからだろうか。

私がもっと、感情を持って四宮さんを見ているから……?

私がなかなか答えが出せずにいたからか、四宮さんは「意地の悪い聞き方をしたな。悪い」と質問を取り下げる。

意地の悪い、なんてそんなことはないと言おうとしたけれど、四宮さんが口を開く方が先だった。

「俺が、藤崎を気に入っている、真剣に付き合いたいと言ったことは覚えているか?」

怒られているわけではないのに、おかしな緊張感があった。
細い糸の上を歩いているような、張りつめた空気を感じながら「……はい」と答える。

まっすぐに目を見てうなずいた私に、四宮さんは視線を合わせたまま告げた。

「俺の気持ちを知っているのに、平気な顔をして俺を部屋にあげたのか?」

四宮さんが今まで言わんとしていることがここでようやくわかった。
それと同時にじわじわと顔が熱を持つ。

平気な顔をしていたつもりはない。私だって戸惑ったし、今だって部屋にふたりきりという状況に緊張もしている。

でも。

「だって、四宮さんは強引なことをする人じゃないってもう知ってますから」