私はどこに座ろうと悩んでいると「座らないのか?」と、四宮さんの隣をポンと叩かれたので、そこに座ることにした。
二人掛けのソファは、余裕を持って作られてはいるけれど、それでも四宮さんとの距離は運転席と助手席よりは近く緊張した胸がトクトクいっていた。
「いただきます」とペコッと頭を下げてから、いただいたカヌレを小皿にとりひと口食べる。
十種類あるカヌレだけど、私はアールグレイをとったらしい。口の中にほんのりと茶葉の香りが広がった。
「ん、おいしいです。すごく。カヌレってプレーン以外もあるんですね」
お土産用の箱に入っていた紹介カードを見る。アールグレイの他には、抹茶やカカオ、ラムレーズンなどがあり、自然と顔がほころぶ。
それを見ていた四宮さんが「喜んでもらえたならよかった」と笑うから、なんだか恥ずかしくなりうつむいた。
楕円形の天板の木製テーブルの下には、毛足の長いアイボリー色のラグを敷いている。
木製テーブルを挟んだ向かいにあるラックは黒のステンレス製で、私の身長ほどの高さがある。
目線の高さの棚にはテレビを、下の段には見た目も可愛いラタンの収納ケースを置いている。一番上の段に並んでいるのは、ひとめぼれして買ったサボテンや苔のテラリウム。
氷室さんの部屋みたいに値の張る家具も雑貨もないけれど、部屋を作るとき相当悩んでそれぞれを購入したのでお気に入りの空間だ。



