「い、今、自動ドア前にいる……なんか、おいでおいでってしてるけど、これ……終わった……? ど、どこか連れていかれる――」
「きゃぁああっ」

直後自動ドアが開く音がし、夢中で富井さんにしがみつく。

「待って、俺、腰抜けて……っ、うわ……っ」

私が飛びついたせいで富井さんは後ろに尻もちをつき、私はそこに覆いかぶさるようにして転んでしまった。

床はタイルだし当然打った膝に痛みはあるけれど、恐怖のせいでそれどころではない。

そうこうしているうちにも足音はたしかにこちらに近づいてきていて……すぐ後ろに立たれた気配を感じ目に涙が浮かんだ時、富井さんが「あ」と声をもらした。

今までの生気が抜けたものとは違い、しっかりとした声に思え、どうしたんだろうと思った瞬間、後ろから伸びてきた手に体を起こされた。

「え……あれ?」

私の両脇に差し込まれた手に、込み持ち上げるようにして立たされる。
そのしっかりとした感触に拍子抜けし後ろを確認すると、そこにはわずかに眉を寄せた四宮さんが立っていた。

その後ろには、どこかで見たようなおばあさんがいて、心配そうにこちらを見ている。

「あの、どういう状況でしょうか……」

事態が把握できずに聞くと、私から手を離した四宮さんは眉間のシワをそのままに説明する。