弱音も愚痴も全部を吐き出して誰かにしがみついて泣きたいけれど、そんな風に甘えられる相手はいなくて、気持ちはどんどんと落ち込んでいくばかりだった。

マンションに入ることができず、けれどここから離れるわけにもいかずにいると、自然と頬を涙が伝った。

不安や情けなさが、一気に溢れ出し涙となって流れる。

マンション前で泣いていたら他の住人に迷惑がかかると思うのに……止められなかった。

涙腺が壊れたんじゃないかと心配になるほど次から次へと大粒の涙が浮かんではこぼれおちる。
もう本当に動くことができなくなってしまい、いっそのこと考えるのもやめたくなった時、横から伸びてきた手に力強く引き寄せられた。

そのまま抱き締められパニックになりそうになったところで「悪い」という声が聞こえ、息を呑む。

私を抱き締めているのは、帰ったハズの四宮さんで……安心と驚きが混ざり困惑していた。

でもすぐに、涙や落ちたメイクがスーツについてしまうと思い離れようとしたけれど、それを後頭部に回った手に止められる。

「あの、スーツが汚れてしまうので……」

「構わない」という声が聞こえると同時に、後頭部と背中に回って腕にそれぞれ力がこもり、ギュッと強く抱き締められる。