「一ヵ月くらい前かな。店長から塚田さんについて軽く聞き取りされて、その時に私も知っている限りを報告しておいたの」
「でも、店長、私にはなにも……」
「あー、うん。たぶん、鈴奈ちゃんは自分の発言が塚田さんの処分に繋がるってよくわかってるからギリギリまで我慢しちゃうんじゃないかって考えたんだと思うよ。だから気を遣ったんだよ」
浅尾さんは、視線の高さを合わせにっこりと笑う。
「そういう経緯もあるから、総合的な判断としては塚田さんが報告したところで、派遣会社から塚田さんに注意がいくよ。だから大丈夫」
店長への報告には浅尾さんが付き添ってくれた。
私の代わりに説明をして『受付としてっていうより、お店としてもう塚田さんの態度には限界だと思います』と言ってくれた浅尾さんに泣きそうになった。
私だけじゃなく、社員みんなそうだ、と味方になってくれている発言に唇を噛みしめ涙をこらえた。
派遣会社の担当と連絡がつかず、塚田さんの話は明日以降進めることとなりこの日は帰宅となった。
電車に揺られたあと、マンションまでの道を歩く。
傍から見てもきっと落ち込んでいるのがわかるだろうという雰囲気をまとっているのが自分でもわかるほどで、そんな自分自身にまた嫌になる。負のループだった。



