これが最後ですよ





でも、先輩はそうやって育ってきた町を離れなければならないんだ。

子供の時に遊んだ公園とか、よく通ったゲームセンターとか、近くのコンビニとか。


新しい土地で新しい生活が始まるのはすごく新鮮で良いことだと思うけど、

育った町から離れるのは……やっぱりどうしても寂しい。


と私は勝手に思う。




「そういえば先輩は進路どうするんですか?」


「進学する。大学はまだ決まってないけど」


「そうなんですね。勉強頑張って下さい」



もう、応援することしかできないけど。

一緒に勉強とか……してみたかったな。


まあ学年違うから一緒に勉強する意味とかないのか。




「受験とか考えたくねぇ〜」


「私もです」


「君はまだ2年も先だろ〜?今の内に遊んどけよ」


「……そうします」




千葉ってどんな所なんだろう。

オシャレな人が多そう。分かんないけど。


先輩のことだから、調子乗ってすぐ彼女とか作るんじゃないかな。

それで、私の知らない間にどんどん進んでいくんだ。


私はもう……先輩の過去にしか存在できない。




「……佐竹さぁ」


「はい」


「俺と一緒にふざけてくれてありがとな」




ぼそっと呟くように言った先輩。

私がそれを聞き逃すはずがなく、目を見開いて先輩を見た。


先輩の横顔が夕日に照らされて眩しい。

でもすごく遠い目をしていて。


なんだか泣きそうになった。