「そう思えば不思議だよな。入学して4ヶ月くらいしか経ってないのに、佐竹とこんな仲良くなるなんて」
「……私も思います」
「波長が合ったんだろうな」
「波長?」
「アホ波長」
無邪気な笑顔が向けられて、なんだか顔が熱くなった。
アホ波長って……何それ。
なんか、先輩と話してるとほんとに気が抜けるというか。
なんでそんなに屈託なく笑えるんだろう。
先輩……転校しちゃうんですよね?
ここで会うのも最後なのに、先輩はいつも通りだ。
私は……こんなにも――
「さー、そろそろ帰るか」
「あ……そうですね」
「俺帰って荷造りしなきゃなんねーんだよ」
「え、そんなすぐに引っ越すんですか?」
「いや、まだ少しあるけど、俺の荷造りに時間が大幅にかかることを見越して親に早めにやっとけって言われてる」
「あぁ、先輩らしいですね」
「なんだとー?」
生意気な奴め、と先輩はまた笑う。
荷造りかぁ。
ほんとに引っ越しちゃうんだよね。
今更何言ってんだって感じだけど。
「くぅー名残惜しいわ。元気でな新聞部!」
「向こうの学校でも新聞部入らないんですか?」
「それが、向こう新聞部無いっぽいわ。てかあっても入らねぇよ」
「なんでですか」
「俺はもう、ここの新聞部じゃないと入りたいと思わない」
立ち上がってぐーっと伸びをしながら話した先輩。
なんとなく、それを聞いて嬉しくなった気がした。
分かんないけど。

