〝佐竹だけ特別に、俺のとっておきのスクープを教えてやる〟
スクープって……。
〝まだ誰にも知られてないとっておきだからな!〟
〝手柄を佐竹にだけ譲る!〟
「なになに、佐竹さんどうしたの?」
「えー分かんないですけど、なんか棚開けて急に笑って……」
「なんか紙持ってるよ」
「あ、ほんとだ。ん?
……『鈴木先生と高橋先生は付き合ってる』……って、えぇ!?ちょ、まじで!?」
「はぁ!?あの2人付き合ってんの!?確かに若いし年齢近いけど……」
「ちょっとたけっちゃん!?このメモ何!?誰の!?」
「待ってユカちゃん、佐竹さん笑いながら泣いてるんだけど」
「え。たけっちゃん!?ちょちょちょ、ほんとにどうしたの!?なんで泣いてるの〜!」
ゆさゆさとユカちゃんに肩を揺らされながら、私は止まらない涙に笑い続けた。
先輩は馬鹿ですね。
とんだスクープですよ、ほんとに。
……もっと私が素直だったら、連絡先くらい交換してたのかな。
今とは少しでも違う関係になれてたのかな。
あの駅で、私が先輩に想いを伝えてたら……
先輩はなんて言ってくれましたか?
……先輩、
私……これからはもっと素直になります。
先輩みたいに。
だから……もし次先輩に会えたとしたら、
ちゃんと素直に気持ちを伝えますね。
もう後悔しないように。
だから、
どうかお元気で。

