これが最後ですよ






「じゃあな」




そして先輩はそう言い残して、定期で改札を抜けて行ったのだ。


1人残された私はそんな先輩の背中を見送る。



先輩は1度も振り返らなかった。




「……っ」




先輩。


なんで抱き締めたのか、
なんで真っ赤だったのか、

考えても……私は自分の都合の良いようにしか捉えられないです。



もう、いいか。


だってこれが最後なんだ。

先輩とはもう会うこともない。


最後の最後に……最高の思い出ができちゃいましたよ。



……今日、部室行って本当に良かった。

ほんとは忘れ物取りに行く目的だけじゃなくて、先輩に会えるかもって思って行ったんですよ。





〝じゃあな〟





……絶対泣かない。

こんな所で泣いたら……止められないもん。



あぁ、


先輩ともっと一緒にいたかった。

文化祭で一緒に回ったりしたかった。

ハロウィンで仮装とかして遊びたかった。

クリスマスにイルミネーション見に行きたかった。

バレンタインデーで手作りのチョコを渡したかった。


もっともっと面白い記事を先輩と作りたかった。



やりたいことたくさんあったのに……。


私、1人で面白い記事なんて書けませんよ。

先輩がいないと……私は……。


……なんて、今更どうしようもないんだけどね。




うん。


先輩、本当にありがとうございました。


頑張って面白い記事書いてみせます。


私は先輩の笑顔を思い出したら頑張れそうです。



……だから先輩も、向こうで幸せな人生を過ごして下さい。



さようなら。