「あ、佐竹」
「……はい?」
「佐竹だけ特別に、俺のとっておきのスクープを教えてやる」
にやっと笑って、先輩は私を見つめる。
……え?
とっておきの……スクープ?
「部室の俺の棚だったとこに、メモを1枚入れてるから」
「え……」
「次部活行った時に見てみ」
「いや……あの……どんなスクープですか?」
「それは見てのお楽しみだ。まだ誰にも知られてないとっておきだからな!」
「……なんで、私に……」
「え?うーん……それは、まあ、佐竹は良い後輩だったからな。手柄を佐竹にだけ譲る!」
……何それ。
なんですかそれ。
スクープって……なんだろう。
え、もしかして……
もしかしてのもしかして……
こ、こ、告白の言葉……とか……。
いや違うだろうけど。
違うだろうけどっ……!
でも、〝特別〟って言ってくれた。
それが何より嬉しいんです。
「ありがとうございます……!」
「おう、皆びっくりするだろうけどな」
「……先輩っ」
「ん?」
先輩の中で、私の存在は後輩の中でも大きかったってことですよね。
私、そう思っていいんですよね。
「私のこと……忘れないで下さい……っ」
目頭が熱い。
でも、絶対先輩の前では泣かない。
こんなこと言うつもりなんてなかったのに。
すみません先輩。
私は先輩の特別になれて……死ぬほど嬉しかったです。

