「じゃあ、映画も終わったことだし…行こうか」
「うん」
私がそう心に願っていると、満面の笑みを浮かべた彼が、私に手を差し伸べてくれた。
好きというには遠過ぎて…。
まだ、この気持ちに形を付けるには勇気がいるけれど…。
きゅっと掴まれた手に、自分の指を絡めて…。
「慧くん、今日は楽しかった、ありがとう」
そう言って、少しでもこの時間を心に刻んで。
「うん、こちらこそ」
そう笑い掛けてくれる彼の瞳の中にいる自分が、このままでいられるよう…彼の瞳の奥をずっと自分だけで占領していられるよう…、許しを乞うように、すっかり夕陽の沈んだ空を見上げた。
Fin.



