【短】太陽のため息



「じゃあ、俺戻るね。彩里ちゃんは気を付けて帰ること!いい?彩里ちゃんこそ、他の誰かのものにならないで?」


ぽん、頭を撫でてにっこり微笑むと、カァーっと赤くなる彼女。


「本当に、自分の魅力に気付いてないんだから…」

「え?」

「…っ、なんでもないです!じゃあ、また"明日"!」

「うん。また"明日"…」


そう言うと、俺は店を出た。
名残惜しさを制して…。



チリチリと肌の奥に突き刺さる太陽の熱。
突然の出逢いは、まるでドラマの始まりのような必然の延長線上にあって。
これから消せない記憶となり、それ以上に鮮やかな未来に続いていくのかもしれない。


「ふぅー…」


会社へと続く道を歩きながら、一つ息を吐く。
その時、なんとなくギラついていた太陽が和らいだような気がした。


これから、俺たちは相手を想う淡い溜息をつく度に、あの太陽を思い出すんだろう。


あの"熱い恋"を連想させる、太陽の溜息の音を聞きながら。


同じように、成長をして………。


Fin.