「…ごめんなさい。ご迷惑を、しかも朝から二回も…」
「いやいや。ほんとに気にしないでよ。困ってる人を見たら助けるのが当たり前だろ?」
そう言って、彼女の頭をぽんと一つ撫でた。
すると、彼女はぽつり、と呟く。
「忠志さんは…優しい…ですね」
「…っ」
静かに、だけれど確信を持った力強い一言。
俺はコーヒーカップを掴んだまま、テーブルを挟んだ彼女の表情を見つめる。
「私…こんな性格だからか、あまり友達とかいなくて…。家でもなんだか一人浮いているような気がしていて…ずっと寂しかったんです」
淡々と語り出す彼女を見つめ、俺はじっとその意味を頭の中に刻み込む。
「だから、いつも一人なんだって。この世界で自分は一人きりなんだって思ってました。…でも、忠志さん、貴方と出逢って私の世界はガラリと変わりました」
「え…?ちょ、ちょっと待って。俺たち逢ったのって…今日が初めてだよね?」
少し焦りを感じている自分に気付く。
もしも既に出逢っていたとしたら、それは…その記憶は俺の中でいつ消えてしまったんだろうか?
そんな俺のざわつく心を見透かしたように、彼女は首を横にふるふると振った。



