【短】太陽のため息


最初は、肩を並べて仲睦まじく歩いている学生カップルなのかと思った。

けれど、途中から違和感を感じる。
明らかに女の子の方が嫌がっていて、懸命に掴まれた手を振り解こうとしていたからだ。


痴話喧嘩か?


そう思った次の瞬間。


「あっ…!」


その女の子が、こちら側を向いて、俺は荷物をそのままに外へと出ていた。



「や、やめてっ!」

「いいじゃーん!一回くらい〜」

「本当にやめて下さい!大声出しますよ!」

「ふぅん?じゃあ試しに出してみ?このご時世、そんなことしたって、誰も助けちゃくれねぇよ?」


そんなやり取りが耳障りだった。
俺は店から出るとすぐに、彼女の元へと走った。


すると、俺の姿を捉えた彼女が俺の名前を、必死に呼んできた。


「忠志さん!!」

「彩里!」


周囲の視線が一斉にこちらを向く。
そんなことなんて構わずに、俺はそのチャラチャラした男から彼女を引き離した。