「あれー?今なんかいた?」

ケラケラと笑う声の方を振り向くと、扉の前で上平さんがニヤニヤしながら私を見ていた。

「上平、どうしたの?」
「ううん。なんでもないよ、木津っち」
「そう…」

上平さんの後ろには単語帳片手に木津さんがいる。
木津さんは私を一瞥するとすぐに単語帳に視線を移し、ある席に近付く。上平さんもその後に続き、彼女の横でおしゃべりしている。