これ以上追求されないよう、早口で挨拶すると駆け出した。
家が見えなくなるまで走り、息が苦しくなると少しずつ走るペースを緩めて荒く息を吐きながら歩き出す。
ゆっくり歩いても徒歩10分の距離だから、あっという間に学校に辿り着く。私は重たい足取りで靴箱に行くが、案の定上靴がない。私は慣れた動作で来賓用のスリッパを借りる。ペタペタと鳴る足音で私は自分の教室前に立ち止まる。中からは楽しそうな話し声が聞こえる。扉の前で何度も深呼吸をして、私は震える手で扉を開ける。カラカラと音を立てて扉が開くと、話し声はピタリと止まり、教室にいた全員が一斉にこちらを向いた。私がその視線に耐えきれず、下を向くといきなり誰かに背中を押される。何の心構えも出来ていない私は、そのまま派手に倒れてしまう。