城内の探索が始まると、カイはテキパキ楽しそうにあちこちを紹介した。
「ここを曲がった先の部屋が、舞踏会なんかに使うホールで、その先の中庭に繋がっている。そして後で夕食をとるのは向こうの部屋だ。我が国自慢のシーフードをふんだんに使った料理を楽しみにしていてくれ!」
アリシアはカイの話を聴きながら、大きく息を吸い込んだ。
この城はかなり風通しの良い造りになっており、頬を撫でる暖かな風がとても心地よい。海が近いからか、ほんのり潮の香りがするような気がする。
「そうだ、庭園に出てみないか?ハイビスカスが美しいぞ!」
カイが良いことを思いついたというように提案する。
「ハイビスカスですか?」
すごい。南国っぽい。
暖かな気候に青く美しい海。ハイビスカスの花が似合わないわけがない。
カイはアリシアたちが何か答える前にさっさと歩いていくので、慌ててそれを追う。
庭園に出ると、彼の言う通り、赤やオレンジ、黄色など色とりどりのハイビスカスが咲き誇っていた。
「わあ……綺麗ですね……」
一つ一つの花が大きくて、とても華やかだ。ハイビスカスと聞くと赤いイメージが強く、こう何色もあるのは意外だ。