でもアリシアとて譲れない。
これを逃したら次いつこんな機会があるかわかったものじゃない。
「カイ様、波は穏やかそうに見えますけど、入るのは危険だったりしますか?」
「いやいや、そんなことはないぞ!見た目通り浅くて波も穏やかだ。せっかくだし俺も久々に……」
カイはおもむろに靴を脱ぎ、素足になった。
「砂浜を裸足で歩くのは心地良いぞ!さ、アリシア殿も」
「!……はい!」
アリシアは目を輝かせながらうなずき、カイに倣って靴を脱いだ。
恐る恐る素足で砂浜を踏むと、ザラりとした砂の感触が足にまとわりついてくる。警戒していたほどには熱くなく、確かに心地良い。
ノアはそれを見て「やってしまった……」というように頭を抱えているが、気づかないふりをしておく。
「さあ行こうアリシア殿!イル、お前も早く!」
当たり前のように靴を脱ぐことを要求されたイルヴィスは「いや、私は……」と遠慮しようとした。
「殿下も行きましょうよ!こんな綺麗な海を近くで堪能できる機会なんてめったにないじゃないですか!」
「そうだぞイル。それとも何だ?自分の婚約者が他の男と楽しく遊んでいるところを一人で遠くから眺めている方が好みか?」
「……」



