第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II



「そうだな……どうせ帰るまで、長すぎる程の時間がある。少しくらい勝手に思い出話をしたって構わないか」


「はい。是非!」



 彼は一つ一つ、大事な宝物について教えるかのように思い出を語ってくれた。

 言われてみればそんな話をした気がする、と記憶が呼び覚まされるものもあれば、ほとんど覚えていないものもあった。



「自分の淹れた、カフェのメニューですらないラベンダーのブレンドティーを初対面の人にいきなり飲ませた……わたしならやりそうですね」


「あの時は特別美味だとは思わなかったが、今となっては一番思い入れのある味かもしれない」


「ふふ。では、帰ったら淹れますね」


「ああ、楽しみだ。不思議だな、貴女の淹れるハーブティーは、しばらく飲まないとすぐ恋しくなる」



 そう笑ったイルヴィスが、優しくアリシアの手を握った。


 気がつけば、窓の外に見える景色がずいぶん変わっている。

 行き道はあんなに面白くて仕方なかった景色がどうでもよくなってしまうほどに、彼と話すことに夢中になっていたらしい。


 嬉しいようなくすぐったいような、そんな気分で、アリシアはそっと彼の手を握り返した。



-fin-

完結編(執筆時期未定)に続きます。長くてすみません。