「…アレは遺書を見つける為のヒントでした。そして私は本物の遺書を読んで違和感を持ち、蛇島さんの持っていた叔父さんと同じ黒手帳の存在を思い出したんです」
「なるほど、先生らしい」
「どうして叔父さんの病気を隠したんですか?」
「そんなの、僕のキャリアに傷が付くからに決まっているだろう?」
「は?」
「病気で引退、ましてや健康管理不足で起きた事だ。先生をデビューから支えていた僕に批判がくるだろう。僕は悪くなくても世間は面白がって僕を悪人に仕立てるだろう。僕は自分の保身を守る為にわざと先生にオーバードースをさせたんだ。痴呆の引退より、謎の死で引退の方がミステリ作家に相応しいだろう」