ふらり。足が、身体が、自然と。彼の方へと、動く。
その腕に今すぐ飛び込みたい。彼を抱きしめたい。彼と抱き合いたい。
「っ、結城さん!行くな!!」
眩しい彼に、私と同じように圧倒されていた北見くん。我に返って、弾かれたように走り出す。後ろで、足音が聞こえる。
でも、遅い。私はすでに駆け出している。
行くな、なんて無理。だって、彼が私を呼んでるから。
「結城さん!──っ、世莉!!」
北見くんが名前を呼ぶ。私の名前を、叫ぶ。
湊斗に初めて名前を呼ばれたときのようなドキドキは、ない。
私がときめくのは、ただ一人。
湊斗に対してだけなんだ。



