「あ……」 湊斗が、私とは反対向きの方向に動いた。 少し不安になって、無意識に声を漏らす。 それに気が付いた彼は、私に向かって微笑んだ。 そして。 一歩、下がって。 ──フェンスを、通り抜けて。 とんっと、アスファルトを蹴って。 空に浮かぶ彼は、両手を広げて、 「世莉。────おいで」 愛しくて愛しくてたまらない、その声で。 …………私を、呼んだ。