それは、精一杯我慢しているだろう時の人間の素の顔。

だから俺は、


「お前には俺が付いてるから」


と言った。


今思えば、アレが一世一代の告白だったというのに…。
それから美登は、何だかんだと言っちゃ俺に懐き、今じゃ兄妹みたいな、そんな関係になってしまっている。


…とても、頭が痛い状況だ。


現に今も、めちゃくちゃリラックスした様子で、俺の顔を見ながら嬉しそうに呑気に弁当を食ってる美登。
それを見て、はぁ…と溜息が漏れた。


「シロちゃん…?」

「なんでもねーって。とりあえずメシ食えメシ。んじゃなくても、そんな、細っこい体してんだ。ちゃんとメシ食わねーと、この暑さでやられんぞ?」

「えへへー。シロちゃんてば、優しいなぁ…」



ちっ。
人の気も知らねぇーで。
よく言うぜ。
こいつは、もう…。


俺は心の中でそう毒づいてから、残りの焼きそばパンを頬張った。